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(1) 勘定、単式簿記、複式簿記

 『複式簿記』とは何かを知るためには、まず『勘定』 『勘定項目』と言う言葉を知り、これによって定義される『単式簿記』 『複式簿記』 の違いを知ることが良いと思われる。
以下に、『勘定』 『単式簿記』 『複式簿記』を理解するための例を示す。

簿記記入するための例
―――――――――――――――――――― ?@現金の当初の残高は\30,000円だった。 ?A銀行の当初の残高は\100,000円だった。 ?B給料として\100,000円現金で受け取った。 ?C銀行に\50,000円預け入れた。 ?D衣服を購入し、\10,000円現金で支払った。 ?E銀行より\10,000円引き出した。 ――――――――――――――――――――
単式簿記
まず、単式簿記の例を示す。  単式簿記で考えると、お金の出入りがある場所は『現金』『預金』の二つであるから、この二つについて勘定項目を設定し、それぞれの増減を記録すればよい。したがって以下のようになる。
現 金
?@当初残高\30,000?C預金\50,000
?B給与\100,000?D衣服費\10,000
?E預金\10,000  
  残 高\80,000
 \140,000 \140,000
預 金
?A当初残高\100,000?E現金引下\10,000
?C現金預入\50,000  
  残 高\140,000
 \150,000 \150,000

 このように勘定項目を分けた場合、?Cと?Eは現金・預金の二つの側面で観察されているが、その他の項目は一つの面でしか観察されていない(一度しか出てこない)。

 このような単式簿記の場合、財産の正味増減額自体の計算は、勘定から直ちに行うことが出来る。
上記例では、
  {(現金残高)+(預金残高)}−{(現金当初残高)+(預金当初残高)}
={(\70,000)+(\140,000)}−{(\30,000)+(\100,000)}
=+\80,000増額
 しかし、正味増減額がどのような原因で発生したのか、を知るためには全ての勘定の中から必要な数値を拾い出して集計しなければならない。これは簿記の外で行われるため、集計が複雑になると原因分析が難しくなる。これが単式簿記の致命的欠点である。

複式簿記
次に、複式簿記の例を示す。  複式簿記では、財産が増減した理由を全て勘定項目に数え上げ、記録することが肝心である。 上記例では、勘定項目は『現金』『預金』『当初残高』『給与』『衣服費』となる。
現 金
?@当初残高\30,000?C預 金\50,000
?B給 与\100,000?D衣服費\10,000
?E預 金\10,000  
  ?J残 高\80,000
 \140,000 \140,000
預 金
?A当初残高\100,000?E現 金\10,000
?C現 金\50,000  
  ?K残 高\140,000
 \150,000 \150,000
当初残高
  ?@現 金\30,000
  ?A預 金\100,000
給 与
  ?B現 金\100,000
衣服費
?D現 金\10,000  

このようにすると、以下の二点の特徴がある。
 ■全ての事実がある勘定の左側とある勘定の右側の二面に記入されている(複式記入)
 ■これらの勘定の集計をすることで、財産の正味増減額において同時に二つの自動計算が可能になる。すなわち
   ◆『現金勘定』と『預金勘定』そして『当初残高勘定』によって在高比較計算が出来る。
   ◆その他の勘定(『給与勘定』 『衣服費勘定』)によって原因別計算が出来る。
  上記二つの計算の結果(正味増加額)は同額である。

まとめ
以上から、次のようにまとめられる。  複式簿記とは、全ての取引を二面的に記入することで、財産の在高とその増減をもたらす原因を自動的に計算することのできるシステムである。
Created at 2006-03-14  |  Modified at 2011-04-17

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(2) 複式簿記実行のための例

以下に、複式簿記実行のための一例を示す。
ちなみに、話はまったくのでたらめです。
参考本を元に、いい加減に調整してあります。

【設定】
chatarou株式会社は、株主の現金500万円を元に2006年 4月1日に設立された。 そして、銀行から3年後に元利(利率年3%)を返済する条件で500万円を借り入れた。

その後、同社は、当期(自2006年4月1日至2007年3月31日)において、以下のような取引を行った。

  1. 2006年 4月1日に、自動車を購入し200万円を現金で支払った。
  2. 2006年 4月1日に、商品100万円を仕入れ、代金のうち10万円を現金で支払い、残額は掛とした。
  3. 2006年 5月1日に、手持ち商品のうち50万円を100万円で販売し、代金は掛とした。
  4. 2006年 6月1日に、銀行から長期借入金4000万円を借り入れ(利率年3%)、一年間分の利息を前払いし残額を当座預金とした。
  5. 2006年 7月1日に、マンションの一室を3000万円で購入し、小切手で支払った。
  6. 2006年 8月1日に、売買目的で他社の株式を100万円で購入し、小切手で支払った。
  7. 2006年 9月1日に、商品仕入代金のうち掛としていた内80万円を現金で支払った。
  8. 2006年10月1日に、従業員の給料100万円と広告宣伝費10万円を現金で支払った。
  9. 2006年11月1日に、現金が盗難にあい、10万円の損失が発生した。
  10. 2007年 2月1日に、株式の配当金5万円を現金で受け取った。

そして、2007年 3月31日付の決算書を作成した。

以下、上記案件について
 ◆仕訳
 ◆元帳への転記
 ◆決算整理仕訳の実行・決算
を行っていきます。

Created at 2006-03-16  |  Modified at 2011-04-17

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(3) 仕訳(前半:設立〜取引 4. まで)

以下、各取引について、仕訳を行っていく。

設立
chatarou株式会社は、株主の現金500万円を元に2006年 4月1日に設立された。
これは、以下のような取引である。  (借方)「資産の増加」  (貸方)「資本の増加」 よって、以下のように仕訳する。
仕訳
期首 現金 \5,000,000 期首 資本金 \5,000,000
そして、銀行から3年後に元利(利率年3%)を返済する条件で500万円を借り入れた。
これは、以下のような取引である。  (借方)「資産の増加」  (貸方)「負債の増加」 よって、以下のように仕訳する。
仕訳
期首 現金 \5,000,000 期首 長期借入金 \5,000,000
取引 1.
2006年 4月1日に、自動車を購入し200万円を現金で支払った。
これは、以下のような取引である。  (借方)「資産の増加」(車両資産が増加)  (貸方)「資産の減少」(現金資産が減少) よって、以下のように仕訳する。
仕訳
1. 車両 \2,000,000 1. 現金 \2,000,000
取引 2.
2006年 4月1日に、商品100万円を仕入れ、代金のうち10万円を現金で支払い、残額は掛とした。
これは、以下のような取引である。  (借方)「資産の増加」(商品資産が増加)  (貸方)「資産の減少」(現金資産が減少)   および「負債の増加」(買掛金が増加) よって、以下のように仕訳する。
仕訳
2. 商品 \1,000,000 2. 現金 \100,000
2. 買掛金 \900,000
取引 3.
2006年 5月1日に、手持ち商品のうち50万円を100万円で販売し、代金は掛とした。
これは、以下のような取引である。  (借方)「資産の増加」(売掛金が増加)  (貸方)「資産の減少」(商品資産が減少)  および 「収益の発生」 よって、以下のように仕訳する。
仕訳
3. 売掛金 \1,000,000 3. 商品 \500,000
3. 商品販売益 \500,000
取引 4.
2006年 6月1日に、銀行から長期借入金4000万円を借り入れ(利率年3%)、一年間分の利息を前払いし残額を当座預金とした。
これは、以下のような取引である。  (借方)「資産の増加」(当座預金が増加)  および 「費用の発生」(支払利息の発生)  (貸方)「負債の増加」(長期借入金が増加) よって、以下のように仕訳する。
仕訳
4. 当座預金 \38,800,000 4. 長期借入金 \40,000,000
4. 支払利息 \1,200,000
Created at 2006-03-17  |  Modified at 2011-04-17

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(4) 仕訳(後半:取引 5. 〜取引 10. まで)

取引 5.
2006年 7月1日に、マンションの一室を3000万円で購入し、小切手で支払った。
これは、以下のような取引である。  (借方)「資産の増加」(建物が発生)  (貸方)「資産の減少」(当座預金が減少) よって、以下のように仕訳する。
仕訳
5. 建物 \30,000,000 5. 当座預金 \30,000,000
取引 6.
2006年 8月1日に、売買目的で他社の株式を100万円で購入し、小切手で支払った。
これは、以下のような取引である。  (借方)「資産の増加」(有価証券が発生)  (貸方)「資産の減少」(当座預金が減少) よって、以下のように仕訳する。
仕訳
6. 有価証券 \1,000,000 6. 当座預金 \1,000,000
取引 7.
2006年 9月1日に、商品仕入代金のうち掛としていた内80万円を現金で支払った。
これは、以下のような取引である。  (借方)「負債の減少」(買掛金が発生)  (貸方)「資産の減少」(現金が減少) よって、以下のように仕訳する。
仕訳
7. 買掛金 \300,000 7. 現金 \300,000
取引 8.
2006年10月1日に、従業員の給料100万円と広告宣伝費10万円を現金で支払った。
これは、以下のような取引である。  (借方)「費用の発生」(給料が発生、広告宣伝費が発生)  (貸方)「資産の減少」(現金が減少) よって、以下のように仕訳する。
仕訳
8. 給料 \1,000,000 8. 現金 \1,100,000
8. 広告宣伝費 \100,000
取引 9.
2006年11月1日に、現金が盗難にあい、10万円の損失が発生した。
これは、以下のような取引である。  (借方)「損失の発生」(東南損失が発生)  (貸方)「資産の減少」(現金が減少) よって、以下のように仕訳する。
仕訳
9. 盗難損失 \100,000 9. 現金 \100,000
取引 10.
2007年 2月1日に、株式の配当金5万円を現金で受け取った。
これは、以下のような取引である。  (借方)「資産の増加」(現金が増加)  (貸方)「収益の発生」(受取配当金の発生) よって、以下のように仕訳する。
仕訳
10. 現金 \50,000 10. 受取配当金 \50,000
Created at 2006-03-17  |  Modified at 2011-04-17

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(5) 取引から決算までのプロセス

概要
以下では、ある株式会社を例に、取引〜財務諸表作成までのプロセスをまとめる。
会計のプロセス
企業が取引を認識してから財務諸表を作成するまでのプロセスは次のように示すことが出来る。 取引の認識  →仕訳帳での仕訳   →元帳への転記    →決算表の作成     →決算整理      →帳簿決算       →財務諸表の作成 このうち、取引をどの勘定項目に記入するか、決定のプロセスを仕訳と言う。 また、試算表の作成から財務諸表の作成までのプロセスを決算と言う。
仕訳の原則
あらかじめ知らなければならないこととして、仕訳の原則を示す。

企業の全ての取引は、以下の5つの項目に集約される。
『資産』 『負債』 『資本』 『収益』 『費用』
仕訳を行う際には、各取引がこれら五つの項目の中のどれに該当するかを決定する必要がある。
そして、項目を決定した結果、仕訳に記入する歳には、
 資産表等式:
  資産 + 費用 = 負債 + 資本 + 収益
に基づいて、仕訳帳に以下のように記入を行う。

 ?@資産が増加した場合は左側に記入する。
 ?A負債が増加した場合は右側に記入する。
 ?B資本が増加した場合は右側に記入する。
 ?C収益が発生した場合は右側に記入する。
 ?D費用(または損失)が発生した場合は左側に記入する。

これは、言い換えると次のようにも言える。
全ての取引が仕訳の原則により処理されるということは、各取引は、以下の要素の組み合わせ(直積)で処理される。







借方の要素貸方の要素
?@資産の増加×?D資産の減少
?A負債の減少×?E負債の増加
?B資本の減少×?F資本の増加
?C費用の発生×?G収益の発生

ただし、これら16種類は全て発生する訳ではない。
 通常発生するのは、以下の7種類である。
 ◆?@−?D(資産の増加−資産の減少) ex.) モノを現金で買う
 ◆?@−?E(資産の増加−負債の増加) ex.) モノを買掛金で買う
 ◆?@−?G(資産の増加−収益の発生) ex.)
 ◆?A−?D(負債の減少−資産の減少) ex.)
 ◆?A−?E(負債の減少−負債の増加) ex.)
 ◆?C−?D(費用の発生−資産の減少) ex.)
 ◆?C−?E(費用の発生−負債の増加) ex.)

 稀に発生するのは、以下の4種類である。
 ◆?@−?F(資産の増加−資本の増加) ex.)
 ◆?A−?F(負債の減少−資本の増加) ex.)
 ◆?A−?G(負債の減少−収益の発生) ex.)
 ◆?B−?F(資本の減少−資本の増加) ex.)

 以下の5種類の取引は発生しない。
 ◆?B−?F(資本の減少−資本の増加) ex.)
 ◆?B−?G(資本の減少−収益の発生) ex.)
 ◆?C−?F(費用の発生−資本の増加) ex.)
 ◆?C−?G(費用の発生−収益の発生) ex.)

Created at 2006-03-17  |  Modified at 2011-04-17

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(6) 仕訳における勘定項目

仕訳においては、取引の内容にふさわしい科目(勘定科目)を使用しなくてはならない。
勘定項目は、長い間の慣行として広く使用されているので、覚えて利用するだけでよい。

以下に主要な勘定項目の一覧を示す。

貸借対照表の勘定
資産の勘定 負債の勘定 資本の勘定
  • 流動資産
    • 現金
    • 現金預金(当座預金)
    • 受取手形
    • 売掛金
    • [貸倒引当金]
    • 有価証券
    • 商品
    • 製品
    • 原材料
    • 前渡金
    • 貸付金
    • 未収入金
    • 仮払金
    • 前払費用
    • 未収収益
  • 固定資産(有形固定資産)
    • 建物
    • [減価償却累計額]
    • 機械装置
    • [減価償却累計額]
    • 車両
    • [減価償却累計額]
    • 工具器具備品
    • [減価償却累計額]
    • 土地
    • 建設仮勘定
  • 固定資産(無形固定資産)
    • 特許権
    • 営業権
  • 繰延資産
    • 創立費
    • 開業費
    • 新株発行費
    • 社債発行費
    • 社債発行差金
  • 流動負債
    • 支払手形
    • 買掛金
    • 短期借入金
    • 未払金
    • 仮受金
    • 前受金
    • 預り金
    • 未払法人税等
    • 末払費用
    • 前受収益
  • 固定負債
    • 長期借入金
    • 社債
    • 退職給付引当金
  • 資本金
  • 資本剰余金
    • 資本準備金
  • 利益剰余金
    • 利益準備金
    • 任意積立金
    • 当期未処分利益
    • 当期未処理損失
  • 土地再評価差額金
  • 株式等評価差額金
損益計算書の勘定
費用の勘定 収益の勘定
  • 仕入
  • (販売費及び一般管理費)
    • 給料
    • 販売促進費
    • 運送費
    • 広告宣伝費
    • 減価償却費
    • 貸倒引当金繰入額
    • 福利厚生費
    • 通信費
    • 旅費交通費
    • 消耗品費
    • 水道光熱費
    • 雑費
    • 棚卸減耗費
    • 棚卸評価損
  • (営業外費用)
    • 支払利息・割引料
    • 社債利息
    • 有価証券売却損
    • 有価証券評価損
    • 社債発行差金償却
    • 売上割引
    • 雑損失
  • (特別損失)
    • 固定資産売却損
  • 売上
  • (営業外収益)
    • 受取利息
    • 受取手数料
    • 受取家賃
    • 受取配当金
    • 有価証券利息
    • 有価証券売却益
    • 有価証券評価益
    • 仕入割引
    • 雑収益
  • (特別利益)
    • 固定資産売却益
Created at 2006-03-17  |  Modified at 2011-04-17

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(7) 元帳への転記

毎日発生する取引を仕訳し仕訳帳に記入したら、次に仕訳帳に現れた勘定項目をそれぞれの勘定項目ごとに集計しなければならない。
このような勘定科目を収容した帳簿を元帳又は総勘定元帳という。
また、仕訳帳に記録された事項を元帳の各勘定に移し変える作業を転記という。

以下に、転記を行った元帳を示す。相手勘定が複数あるばあいは諸口と記入する。

現 金
期首 諸口 \10,000,000 1. 車両 \2,000,000
10. 受取配当金 \50,000 2. 商品 \100,000
7. 買掛金 \300,000
8. 諸口 \1,100,000
9. 盗難損失 \100,000
資本金
期首 現金 \5,000,000
長期借入金
期首 現金 \5,000,000
4. 諸口 \40,000,000
車 両
1. 現金 \2,000,000
商 品
2. 諸口 \1,000,000 3. 売掛金 \500,000
買掛金
7. 現金 \300,000 2. 商品 \900,000
売掛金
3. 諸口 \1,000,000
商品販売益
3. 売掛金 \500,000
当座預金
4. 長期借入金 \38,800,000 5. 建物 \30,000,000
6. 有価証券 \1,000,000
支払利息
4. 長期借入金 \1,200,000
建 物
5. 当座預金 \30,000,000
有価証券
6. 当座預金 \1,000,000
給 料
8. 現金 \1,000,000
広告宣伝費
8. 現金 \100,000
盗難損失
9. 現金 \100,000
受取配当金
10. 現金 \50,000
Created at 2006-03-17  |  Modified at 2011-04-17

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(8) 試算表の作成

仕訳帳から元帳への転記が完了すると、一定時点において、試算表(T/B:Trial Balance)を作成する。

試算表について
試算表には、以下の二つがある。
合計試算表
元帳の各勘定科目の借方合計と貸方合計を集計して作成したもの。
 
残高試算票
勘定科目ごとに借方と貸方の金額を相殺した後の残高だけを集めて作成した物。 また、この両方を結合すれば、合計残高試算票を作成することが出来る。

以下に今回の例における合計残高試算表を示す。

合計残高試算表
単位:1000円
借方残高 借方合計 勘定項目 貸方合計 貸方残高
\6,450 \10,050 現 金 \3,600
\7,800 \38,800 当座預金 \31,000
\1,000 \1,000 売掛金
\1,000 \1,000 有価証券
\500 \1,000 商 品 \500
\30,000 \30,000 建 物
\2,000 \2,000 車 両
\300 買掛金 \900 \600
長期借入金 \45,000 \45,000
資本金 \5,000 \5,000
受取配当金 \50 \50
\1,000 \1,000 給 料
\100 \100 広告宣伝費
\1,200 \1,200 支払利息
\100 \100 盗難損失
商品販売益 \500 \500
\51,150 \86,550 \86,550 \51,150
試算表の自己検証機能
試算表の目的は、仕訳から元帳への転記が正しく行われたかの正確性を試算することにある。 この目的のためには合計試算表がよい。 合計試算表では、  ■合計試算表の借方合計と貸方合計の金額は、貸借平均の原理により一致する。   もし一致しないならば、転記にミスがあったことが分かる。  ■仕訳帳に記載された仕訳の合計金額と、合計試算表の全ての勘定項目の合計金額は一致する。   もし一致しないならば、やはり転記ミスがあったことが分かる。 残高試算要では、上記の前者のみ備えている。 これらのような仕組みを、複式簿記の自己検証機能と言う。
試算表から企業の内容を知る
試算表は財務諸表と異なり、いつでも作成することが出来る(通常、月次に作成する)。 そしてそれは、一定時点における資産・負債・資本の残高及び一定期間における収益・費用の発生高を示しているので、それによって財務状態や経営成績把握することが出来る。 この目的のためには残高試算表がよい。
試算表から分からない物
次のような場合は、試算表だけでは誤りは発見できない。
  1. 元帳に転記する前に誤りがあった場合。例えば、
    • 仕訳帳への仕訳記入に誤りがあり、しかも金額では貸借平均している場合
    • ある取引の仕訳記入の全部が漏れていた場合
  2. 誤りが互いに相殺されている場合。例えば、
    • 借方欄に1000円の転記漏れor計算の誤りがあり、貸方欄にも同様の転記漏れor計算の誤りがあった場合
  3. 5つの項目内の勘定項目を間違えて転記した場合。例えば、
    • 試算の中の「建物」の借方に転記すべきなのに、「機械装置」の借方に転記した場合
  4. 一組の仕訳の貸借を正反対に転記した場合。例えば、
    • (借方)車両 (貸方)現金 の仕訳を、現金勘定の借方と車両勘定の貸方に転記した場合
今日では簿記はコンピュータ処理されるので、上記のうち 3. と 4. のような転記ミスは起こりにくい。 しかし、 1. や 2. はあり得るので、インプット(仕訳入力)時点で正確な金額で正しく記入することが重要である。
Created at 2006-03-18  |  Modified at 2011-04-17

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(9) 三分法への再仕訳

今まで、分記法を用いて仕訳を行ってきた。すなわち、商品の勘定項目について、商品(資産の勘定)と商品売買益(収益の勘定)を設けて仕訳を行ってきた。
しかし、実際の業務では、売上の度に売り上げた商品の原価と売買益を計算するのは大変面倒である。

そこで、商品の勘定について三分法を用いて仕訳を行い、元帳に転記する手順を示す。
三分法では、勘定科目について、仕入(費用の勘定)・売上(収益の勘定)・繰越商品(資産の勘定)と言う勘定科目を設ける。

これに従って再度仕訳を行うと、以下のようになる。

仕訳の修正

取引 2. は以下の通りとなる。















仕訳
2. 仕入 \1,000,000 2. 現金 \100,000
2. 買掛金 \900,000

取引 3. は以下の通りとなる。









仕訳
3. 売掛金 \1,000,000 3. 売上 \10,00,000

これにより、全仕訳は以下の通り転記される。

上記をまとめると、以下のとおりになる。


  • 商品勘定・商品販売益勘定が削除されている。

  • 仕入勘定・売上勘定が追加されている。

  • 現金勘定・買掛金勘定・売上金勘定が修正されている。
  • 転記結果
    現 金
    期首 諸口 \10,000,000 1. 車両 \2,000,000
    10. 受取配当金 \50,000 2. 仕入 \100,000
    7. 買掛金 \300,000
    8. 諸口 \1,100,000
    9. 盗難損失 \100,000
    資本金
    期首 現金 \5,000,000
    長期借入金
    期首 現金 \5,000,000
    4. 諸口 \40,000,000
    車 両
    1. 現金 \2,000,000
    買掛金
    7. 現金 \300,000 2. 仕入 \900,000
    売掛金
    3. 売上 \1,000,000
    仕入
    2. 諸口 \1,000,000
    売上
    3. 売掛金 \1,000,000
    当座預金
    4. 長期借入金 \38,800,000 5. 建物 \30,000,000
    6. 有価証券 \1,000,000
    支払利息
    4. 長期借入金 \1,200,000
    建 物
    5. 当座預金 \30,000,000
    有価証券
    6. 当座預金 \1,000,000
    給 料
    8. 現金 \1,000,000
    広告宣伝費
    8. 現金 \100,000
    盗難損失
    9. 現金 \100,000
    受取配当金
    10. 現金 \50,000

    さらに、これをもとにした合計残高試算表を示す。

    合計残高試算表

    単位:1000円







































































































































    借方残高 借方合計 勘定項目 貸方合計 貸方残高
    \6,450 \10,050 現 金 \3,600
    \7,800 \38,800 当座預金 \31,000
    \1,000 \1,000 売掛金
    \1,000 \1,000 有価証券
    \30,000 \30,000 建 物
    \2,000 \2,000 車 両
    \300 買掛金 \900 \600
    長期借入金 \45,000 \45,000
    資本金 \5,000 \5,000
    売上 \1,000 \1,000
    受取配当金 \50 \50
    \1,000 \1,000 仕 入
    \1,000 \1,000 給 料
    \100 \100 広告宣伝費
    \1,200 \1,200 支払利息
    \100 \100 盗難損失
    \51,650 \86,550 \86,550 \51,650

    三分法による売上原価の算出と収益の算出は、決算整理仕訳のところで説明する。

    Created at 2006-07-15  |  Modified at 2011-04-17

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(10) 決算整理概要

元帳は試算表により記入内容の正確性の検証には役立つ。
しかし、元帳の内容が財政状態や経営成績を表す適正な金額を示していることにはならない。
そこで、事業年度末において、元帳に追加したり修正を加えたりする手続きを決算整理又は決算記入と言う。決算整理も元帳への追加記入であるから、必ず決算日の日付で仕訳帳に記入し、それを元帳に記入すると言う手順で行われる。
決算整理のために必要な仕訳を決算整理仕訳と言う。

決算整理には例えば、以下のような物がある。



  • 元帳では有価証券や棚卸資産、固定資産などの価値の変動が記入されていない。
    そこで、有価証券や棚卸資産の時価が下落している場合は評価損を計上しなければならない。
    また、固定資産の価値の減少は減価償却費として計上しなければならない。


  • 取引が記入されていても、それが期間損益計算の上から必ずしも適切であるとは限らない。
    例えば、借入金の利息を一年分支払ったが、途中で事業年度末(決算日)となる場合は、その記録を修正しなければならない。

以下、基本的な決算整理を示す。

Created at 2006-03-19  |  Modified at 2011-04-17

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(11) 精算表の作成

決算を行うにあたって、決算整理前の残高試算表から、損益計算書と貸借対照表を作成する過程を一つの表で表したものを、精算表という。
この目的は、決算手続きの検証や当期の営業成績を早期に知るためのものである。

試算表には、6桁・8桁・10桁など様々な様式のものがあるが、ここでは一番ありふれた8桁精算表を用いる。

以下に、現時点での精算表を示す。

精算表

単位:1000円

























































































































































































































勘定科目
試算表
修正記入
損益計算書
貸借対照表
借方
貸方
借方
貸方
借方
貸方
借方
貸方
現金
\6,450







当座預金
\7,800







売掛金
\1,000







有価証券
\1,000







建 物
\30,000







車 両
\2,000







買掛金

\600






長期借入金

\45,000






資本金

\5,000






売 上

\1,000






受取配当金

\50






仕 入
\1,000







給 料
\1,000







広告宣伝費
\100







支払利息
\1,200







盗難損失
\100

















\51,650
\51,650






現在は試算表の部分のみ記入されているが、ここに決算仕訳(修正記入)を行うことによって、損益計算書と貸借対照表を作成することが出来る。

Created at 2006-07-15  |  Modified at 2011-04-17

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(12) 決算処理(1) - 売上原価の算定

商品勘定の三分法では、売上総利益を以下のように算出する。

売上総利益 = 売上高 - 売上原価
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期仕入高 - 期末商品棚卸高
        (前期繰越高)            (次期繰越高)

売上高は売上帳(又は売上勘定)を元に算出できる。
当期仕入高も仕入帳(又は仕入勘定)を元に算出できる。
期首商品棚卸高は前年の棚卸額だから前年の決算整理時の資料(又は繰越商品勘定)から分かる。
期末商品棚卸高は期末に商品を実地で調べてその有高を計算しなければならない。この手続きを実地棚卸と言い、これによって算定した商品の有高を実地棚卸高と言う。
実地棚卸高が期末商品棚卸高となる。

今まで示して来た例を、商品勘定の3分法に変更すると以下のようになる。

仕訳の修正

期首における、繰越商品の仕訳は以下の通りとなる。









仕訳
期首 仕入 \0 期首 繰越商品 \0

期末における、繰越商品の仕訳は以下の通りとなる。









仕訳
期末 繰越商品 \500,000 期首 仕入 \500,000

これらを反映させると、精算表は以下のようになる。

精算表

単位:1000円
勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 \6,450
当座預金 \7,800
繰越商品 \500
売掛金 \1,000
有価証券 \1,000
建 物 \30,000
車 両 \2,000
買掛金 \600
長期借入金 \45,000
資本金 \5,000
売 上 \1,000
受取配当金 \50
仕 入 \1,000 \500
給 料 \1,000
広告宣伝費 \100
支払利息 \1,200
盗難損失 \100
\51,650 \51,650
Created at 2006-03-19  |  Modified at 2011-04-17

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(13) 決算処理(2) - 有価証券の評価

株式のような有価証券の価値は毎日変動する。そこで、売買目的の有価証券は時価で評価しなければならない。
chatarou株式会社には100万円で購入した株があるが、これが期末時点でいくらの時価であるか、を決算に反映させなければならない。
反映方法は、試算表等式(下記)に基づく。
『資産』 + 『費用』 = 『負債』 + 『資本』 + 『収益』

損失が出た場合
損失が出た場合は、借方に費用を計上する。例えば、決算日における株式時価総額が80万円の場合は以下のようになる。
仕訳
期末 有価証券評価損 \200,000 期末 有価証券 \200,000
利益が出た場合
利益が出た場合は、貸方に収益を計上する。例えば、決算日における株式時価総額が130万円の場合は以下のようになる。
仕訳
期末 有価証券 \300,000 期末 有価証券評価益 \300,000

以上のように表記される。なお、有価証券による損益は損益計算書において営業外収益として記載される。
ここでは、上記のうち利益が出た方の仕訳を実行して、精算表の修正記入を行う。

精算表
単位:1000円
勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 \6,450
当座預金 \7,800
繰越商品 \500
売掛金 \1,000
有価証券 \1,000 \300
建 物 \30,000
車 両 \2,000
買掛金 \600
長期借入金 \45,000
資本金 \5,000
売 上 \1,000
受取配当金 \50
仕 入 \1,000 \500
給 料 \1,000
広告宣伝費 \100
支払利息 \1,200
盗難損失 \100
\51,650 \51,650
有価証券評価益 \300
Created at 2006-03-19  |  Modified at 2011-04-17

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(14) 決算処理(3) - 受取手形や売掛金の回収可能性

参照:
 →受取手形勘定、支払手形勘定

企業は、通常、受取手形や売掛金(両方あわせて売上債権と言う)を有するが、これらの債権が回収できない場合もある。回収できないことを貸倒れと言い、その損失を貸倒損失と言う。

ここで問題になるのは、受取債権が事業年度をまたぐ場合である。
今日の企業会計は期間損益の算定を目的にしている。そのため、事業年度をまたいで貸倒が発生する場合は、受取債権が発生した年度に貸倒損失を計上しなければならない。
ところが、貸倒れは発生した後でなければ分からない。
そこで、掛売りが行われた事業年度において、一定額を推定し貸倒れ損失として計上する。
多くの企業の場合、法人税法で定める規定に従って貸倒見積高を決定し、この金額を貸倒損失ではなく『貸倒引当金繰入額』と言う科目で掛売りが行われた年度の損益計算書の販売費(費用)に計上し、その相手勘定である『貸倒引当金』を将来の経済的負担を表す負債と認識する。ただし、貸倒引当金は、資産項目の一つとして控除形式で表示する。

chatarou株式会社での例
chatarou株式会社では、期末において売掛金が\1,000,000あった。 ここで法人税法で規定する「貸倒実績率」が0.5%の場合、貸倒引当金は\5,000になるので、次のような決算整理仕訳が行われる。
仕訳
期末 貸倒引当金繰入額 \5,000 期末 貸倒引当金 \5,000

上記をくみ入れて、精算表は以下のようになる。

精算表
単位:1000円
勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 \6,450
当座預金 \7,800
繰越商品 \500
売掛金 \1,000
有価証券 \1,000 \300
建 物 \30,000
車 両 \2,000
買掛金 \600
貸倒引当金 \5
長期借入金 \45,000
資本金 \5,000
売 上 \1,000
受取配当金 \50
仕 入 \1,000 \500
給 料 \1,000
広告宣伝費 \100
支払利息 \1,200
盗難損失 \100
\51,650 \51,650
有価証券評価益 \300
貸倒引当金繰入 \5
Created at 2006-03-20  |  Modified at 2011-04-17

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(15) 決算処理(4) - 減価償却

固定資産のうち、建物・機械装置・車両・工具器具備品については、年々価値が減少していくので減価償却を計上しなければならない。

減価償却の計上法については、以下のような違いがある。


定額法と定率法


ある固定資産の使用可能期間を耐用年数と言う。固定資産の取得後、耐用年数を経て処分する際の処分価格を残存価格と言う。利用期間内において、均等に価値が減少する方法を定額法、一定の利率で価値が減少する方法を定率法と言う。
定額法では毎年同じ額を計上するので計算がしやすい。
定率法では、取得した年に近いほど減少額が大きくなる。

直接法と間接法
貸方にその固定資産をそのまま仕訳する方法を直説法と言う。 貸方にその固定資産の原価償却累積額を仕訳する場合は、固定資産の取得価値を残しつつ、それからこれまでの減価償却費の合計額である減価償却累積額を控除する形式で表示することで、その残額を期末現在の帳簿価値とする方法である。これを間接法と言う。

現在簿記を行っているchatarou株式会社では、以下の通り減価償却を設定しました。

建物に対する減価償却

取得原価\30,000,000、耐用年数30年、残存価値は取得原価の10%、定額法により減価償却を計上する。

→減価償却費は(30,000,000-3,000,000)/30年 = \900,000
車両に対する減価償却


取得原価\2,000,000、年20%の定率法により減価償却を計上する。

→減価償却費は(2,000,000*0.2 = \40,000

減価償却の仕訳
仕訳
期末 減価償却費 \940,000 期末 建物減価償却累積額 \900,000
期末 車両減価償却累積額 \40,000
精算表
単位:1000円
勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 \6,450
当座預金 \7,800
繰越商品 \500
売掛金 \1,000
有価証券 \1,000 \300
建 物 \30,000
減価償却累積額 \900
車 両 \2,000
減価償却累積額 \40
買掛金 \600
貸倒引当金 \5
長期借入金 \45,000
資本金 \5,000
売 上 \1,000
受取配当金 \50
仕 入 \1,000 \500
給 料 \1,000
広告宣伝費 \100
支払利息 \1,200
盗難損失 \100
\51,650 \51,650
有価証券評価益 \300
貸倒引当金繰入 \5
減価償却費 \940
Created at 2006-03-20  |  Modified at 2011-04-17

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(16) 決算処理(5) - 勘定の締め切り〜決算書の作成

以上を持ってchatatou株式会社の決算整理仕訳は終了し、損益計算書と貸借対照表が作成される。

精算表
単位:1000円
勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 \6,450 \6,450
当座預金 \7,800 \7,800
繰越商品 \500 \500
売掛金 \1,000 \1,000
有価証券 \1,000 \300 \1,300
建 物 \30,000 \30,000
減価償却累積額 \900 \900
車 両 \2,000 \2,000
減価償却累積額 \40 \40
買掛金 \600 \600
貸倒引当金 \5 \5
長期借入金 \45,000 \45,000
資本金 \5,000 \5,000
売 上 \1,000 \1,000
受取配当金 \50 \50
仕 入 \1,000 \500 \500
給 料 \1,000 \1,000
広告宣伝費 \100 \100
支払利息 \1,200 \1,200
盗難損失 \100 \100
\51,650 \51,650
有価証券評価益 \300 \300
貸倒引当金繰入 \5 \5
減価償却費 \940 \940
当期純損失 \2,495 \2,495
\1,745 \1,745 \3,845 \3,845 \51,545 \51,545

と言うことで、今期のchatarou株式会社は大きな損失を計上したのでした。

Created at 2006-07-15  |  Modified at 2011-04-17

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